礼拝説教要旨「アガペー?」(ヨハネ 21:15-19)

4月21日
復活節第4主日

ヨハネによる福音書 21章15-19節(新約P.211)

説教 平良愛香牧師
「アガペー?」

 

「シモン・ペトロよ、私を愛するか」「はい愛しています。そのことをあなたはご存じです。」「わたしの小羊を飼いなさい。」このやりとりが3回続く。実はペトロは、イエスが逮捕された直後に、イエスを知らないと3回言ってしまった。3回という回数は聖書では「徹底的に」という意味で使われる事が多い。イエスがペトロに「わたしを愛するか」と3回尋ね、「愛しています」と3回言わせたかったのは、ペトロが3回イエスを「知らない」と否定したからに他ならない。徹底的にイエスを否定した事実はもう消せない。その中で、それを越えてイエスが語りかけてくる。わたしはあなたを責めているのではない。あなたを愛していることがあなたにきちんと伝わっているだろうか、と。

かつてペトロがイエスを全否定してしまったとき、それは同時に、自分が生きようと思っていた道をもぶちこわしてしまった瞬間だった。自分がこう生きようと決心していたにも関わらず、それができなかった。自分のダメさは自分がよく分かっている。いや自覚している以上に、神にはお見通しである。それほどの失望をペトロは経験した。

けれどイエスは見捨てなかった。負い目を感じて生きなければならないと思っていたペトロに対し、イエスは「どんなあなたでも、私はあなたを愛している。それが分かっているなら、あなたは私に応えることができるだろう。私を愛するか」という問いかけたのだと思う。

イエスがペトロに「私を愛するか」と尋ねたとき、原語ギリシャ語では最初の2回が「アガペー」、3回目が「フィレオ」が用いられている。アガペーというのは神の愛、フィレオは人間同士の愛を意味する。イエスは最初の2回「ペトロよ、あなたは私をアガペーするか」と尋ねたとき、ペトロは「私があなたをフィレオしていることはあなたがご存知です」と答える。

そして3回目にイエスがペトロに尋ねるとき「あなたは私をフィレオするか」と単語を変えている。特に違いはないとする解釈もあるが、ある牧師は、「ここでイエスはペトロに歩み寄ったのだ」と語る。ペトロの応答が完璧だったから「私の羊を飼いなさい」とイエスが言ったのではなく、ペトロの不完全さをイエスは良しとした。これから苦難の道を歩むことになるペトロに対し、イエスは脅すのではなく、そのときにおいても、わたしは同行しているのだよ、と気づかせようとしている。

教会の内外を問わず、イエスに応え、イエスの羊を飼う者でありたい。寄り添いを必要としている人に寄り添い、苦しんでいる人に手を差し伸べること、それこそが「私の羊を飼いなさい」に対する応答である。

 

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